あしひきの山のかげ草結び置きて
恋ひやわたらん逢ふよしをなみ
- 歌の意味
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山陰の草を結んでおくように契りを結んでおいて、恋い続けることになるのだろうか。逢う方法がないので。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 1213
詞書「題しらず」
訪れの途絶えた恋を詠む一連の五首目である。山陰の草を結んでおくように契りを結んでおきながら、逢う手だてがないので恋い続けることになるのだろうかと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「中納言家持」は大伴家持である。大伴旅人の子で、中納言に至った。『万葉集』の編纂に深く関わったとされる。
初句「あしひきの」は、山にかかる枕詞である。
二句「山のかげ草」は、山陰に生える草、の意である。
三句「結び置きて」は、結んでおいて、の意で、六音の字余りである。草を結ぶことは、契りを結ぶことや、無事や再会を祈ることを表す。
四句「恋ひやわたらん」は、恋い続けることになるのだろうか、の意で、係助詞「や」が「らん」と係り結びをなす。四句切れとなり、結句が理由を倒置して示す。
結句「逢ふよしをなみ」は、逢う方法がないので、の意である。「を〜み」は、〜が〜なので、の意を表す古い語法である。契りは結んだのに逢えないという嘆きで、次歌も同じ「恋ひやわたらん」を四句に置き、二首が同じ句でつながっている。
かげくさ:山陰などに生える草
わたる:ずっと続ける
よし:手だて。方法
- 作者
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大伴家持
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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世の常の秋風ならば荻の葉に そよとばかりの音はしてまし
- 次の歌
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東路に刈るてふ萱の乱れつつ つかのまもなく恋ひやわたらん