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つらしとは思ふものから伏柴の
しばしもこりぬ心なりけり

歌の意味
薄情だとは思うものの、伏柴の「しば」ではないが、しばしの間も懲りない、我が心であったことよ。
鑑賞
巻第十三 恋歌三 1224

詞書「女を恨みて今はまからじと申して後、なほ忘れがたく覚えければ遣はしける」
 つれない人を恨み、そのつらさに耐える恋を詠む一連の五首目である。薄情だとは思うものの、伏柴の柴を樵るのではないが、しばしも懲りない心であったと詠む。詞書によれば、女を恨んでもう通うまいと言ったのちも、やはり忘れがたく思われたので贈った歌である。
 作者の「右衛門督家通」は藤原家通である。平安時代後期の公卿で、右衛門督を務めた。

 初句「つらしとは」は、薄情だとは、の意である。本巻の第千二百十六首の「つらしとぞ思ふ」を受け、相手の薄情を認める。
 二句「思ふものから」は、思うものの、の意である。「ものから」は逆接の接続助詞である。
 三句「伏柴の」は、刈って伏せ置いた柴の、の意である。同音の「しばし」を導く序となる。
 四句「しばしもこりぬ」の「こり」は、柴を樵る意と、懲りる意を掛ける掛詞である。伏柴、樵るが縁語をなし、しばしの間も懲りない、の意となる。
 結句「心なりけり」は、心であったことよ、の意で、「けり」は気づきの詠嘆である。もう通うまいと言いながら忘れられない自分の心に、改めて気づく嘆きで結ぶ。

まかる:行く、の謙譲語
ふししば:刈って伏せ置いた柴
こる:柴を樵る意と、懲りる意を掛ける
作者
藤原家通
出典
新古今和歌集
前の歌
ただ頼めたとへば人の偽りを 重ねてこそはまたも恨みめ
次の歌
頼め来し言の葉ばかりとどめ置きて 浅茅が露と消えなましかば