頼め来し言の葉ばかりとどめ置きて
浅茅が露と消えなましかば
- 歌の意味
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頼みに思わせてきたあなたの言葉だけをこの世に残して、私が浅茅の露のように消えてしまっていたならば、どうだったでしょう。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 1225
詞書「頼むこと侍りける女、わづらふこと侍りけるをこたりて、久我内大臣のもとに遣はしける」
つれない人を恨み、そのつらさに耐える恋を詠む一連の六首目である。頼みに思わせてきたあなたの言葉だけを残して、私が浅茅の露のように消えてしまっていたならば、と詠む。詞書によれば、久我内大臣を頼みにしていた女が、病んでいたのが快方に向かったときに内大臣に贈った歌で、次歌がその返歌である。
作者の「読人しらず」は、作者の名が伝わらないことを示す。
詞書の久我内大臣は、次歌の作者である源雅通を指す。
初句「頼め来し」は、頼みに思わせてきた、の意である。「頼む」は下二段活用で、相手が約束してきたことを指す。
二句「言の葉ばかり」は、言葉だけを、の意である。「言の葉」の「葉」は、結句の「露」と縁語をなす。
三句「とどめ置きて」は、あとに残して、の意で、六音の字余りである。
四句「浅茅が露と」は、浅茅に置く露のように、の意である。はかなく消える命のたとえで、病の身を思わせる。
結句「消えなましかば」は、もし消えてしまっていたならば、の意である。「ましかば」は反実仮想で、下を言いさして余情を残す。死んでいたならあなたはどう思ったか、という問いかけを含み、相手の真心を確かめようとしている。本巻の第千百八十七首の「消えなましかば」と同じ結句である。
わづらふ:病気になる
おこたる:病気が快方に向かう
あさぢ:丈の低い茅
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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つらしとは思ふものから伏柴の しばしもこりぬ心なりけり
- 次の歌
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あはれにも誰かはつゆも思はまし 消え残るべき我が身ならねば