恋ひ死なん命はなほも惜しきかな
同じ世にある甲斐はなけれど
- 歌の意味
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恋い死にしてしまいそうな命は、それでもやはり惜しいことだ。あの人と同じ世に生きている甲斐はないけれど。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌三 1229
詞書は前の歌に続き「題しらず」
つれない人を恨み、そのつらさに耐える恋を詠む一連の十首目である。恋い死にしそうな命もやはり惜しい、あの人と同じ世に生きている甲斐はないけれど、と詠む。詞書は前の歌に続いて題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「刑部卿頼輔」は藤原頼輔である。平安時代後期の公卿で、刑部卿を務めた。蹴鞠の名手として知られる。
初句「恋ひ死なん」は、恋い死にしてしまうであろう、の意である。
二句「命はなほも」は、命はそれでもやはり、の意である。前歌が命を厭わないと言ったのを受ける。
三句「惜しきかな」は、惜しいことだ、の意で、詠嘆の「かな」で三句切れとなる。本巻の第千百五十二首の「命の惜しくもあるかな」は逢えた喜びから命を惜しんだが、本歌は逢えないまま命を惜しむ。同じ惜しむ心が反転した形で詠まれている。
四句「同じ世にある」は、同じ世に生きている、の意である。相手と同じこの世に生きていること自体を指す。
結句「甲斐はなけれど」は、甲斐はないけれど、の意である。倒置によって、生きる甲斐はないのに命は惜しいという矛盾を最後に示し、それでも同じ世に生きていたいという未練をにじませている。
こひしぬ:恋のために死ぬ
- 作者
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藤原頼輔
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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なにか厭ふよもながらへじさのみやは 憂きに堪へたる命なるべき
- 次の歌
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あはれとて人の心の情けあれな 数ならぬにはよらぬ嘆きを