吹く風につけても問はむささがにの
通ひし道は空に絶ゆとも
- 歌の意味
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吹く風に託してでも便りをしよう。蜘蛛の糸のようにあなたが通ってきた道が、空の途中で絶えてしまったとしても。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1242
詞書は前の歌に続き「題しらず」
秋冬の景物に寄せて疎遠を嘆く一連の二首目である。蜘蛛の糸のように通ってきた道が空で絶えてしまっても、吹く風に託して便りをしようと詠む。詞書は前歌に続いて題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「右大将道綱母」は藤原道綱母である。藤原倫寧の娘で、藤原兼家の妻となり、右大将藤原道綱を生んだ。『蜻蛉日記』の作者である。
初句「吹く風に」は、便りを託す手立てとして風を挙げる。前歌の時雨に続き、自然の景物に寄せて思いを述べる。
二句「つけても問はむ」は、風に託してでも便りをしよう、の意である。「む」は意志を表す。
三句「ささがにの」は蜘蛛のことで、その糸を四句の「通ひし道」にたとえる。蜘蛛が巣をかけるのは恋人の来る前兆とされ、衣通姫の歌として伝わる「わが背子が来べき宵なりささがにの蜘蛛のふるまひかねてしるしも」が知られる。
四句「通ひし道は」は、あなたが通ってきた道は、の意である。「し」は過去で、通いがすでに過去のものとなったことを示す。
結句「空に絶ゆとも」は、空で途絶えてしまっても、の意の逆接仮定である。蜘蛛の糸が空中で切れるさまに仲の途絶えを重ね、それでも自分からは便りをしようという意志で結ぶ。
ささがに:蜘蛛、またその糸
とふ:便りをする、訪ねる
- 作者
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藤原道綱母
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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言の葉のうつろふだにもあるものを いとど時雨の降りまさるらむ
- 次の歌
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葛の葉にあらぬ我が身も秋風の 吹くにつけつつうらみつるかな