霜さやぐ野辺の草葉にあらねども
などか人目のかれまさるらむ
- 歌の意味
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霜にざわめく野辺の草葉でもないのに、どうしてあなたの訪れは、草が枯れるようにますます離れてゆくのだろう。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1244
詞書「久しく参らざりける人に」
秋冬の景物に寄せて疎遠を嘆く一連の四首目である。霜にざわめく野辺の草葉でもないのに、どうしてあなたの訪れはますます離れてゆくのかと問う。詞書によれば、久しく参上しなかった人に贈った歌である。
作者の「延喜御歌」は醍醐天皇である。宇多天皇の皇子で、その治世は延喜の治と称され、紀貫之らに古今和歌集の撰進を命じた。延喜は在位中の年号であり、延喜御歌は醍醐天皇の御製の意である。
相手は次歌の第千二百四十五首で答えている。
初句「霜さやぐ」は、霜の降りた草葉がさやさやと音を立てる、の意である。前歌の秋風から季節が進み、冬の景となる。
二句「野辺の草葉に」は、霜枯れてゆく野の草葉である。人の身を草葉になぞらえる点で、前歌の「葛の葉にあらぬ我が身」と同じ構えをとる。
三句「あらねども」は、〜ではないけれど、の意である。前歌の二句「あらぬ」と同じ語で、草木ではないのにという理屈が続けて示される。
四句「などか人目の」の「などか」は、どうして、の意である。「人目」は人の訪れを言う。
結句「かれまさるらむ」の「かれ」は、草葉が「枯れ」る意と、人が「離れ」る意とを掛ける掛詞である。古今集冬の源宗于の歌「山里は冬ぞさびしさまさりける人目も草もかれぬと思へば」にも、人目と草とを「かれ」で結ぶ趣向が見える。
さやぐ:さやさやと音を立てる
ひとめ:人の訪れ、人の出入り
かる:草木が枯れる意と、人が離れる意を掛ける
- 作者
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醍醐天皇
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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葛の葉にあらぬ我が身も秋風の 吹くにつけつつうらみつるかな
- 次の歌
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浅茅生ふる野辺やかるらむ山賤の 垣ほの草は色も変はらず