浅茅生ふる野辺やかるらむ山賤の
垣ほの草は色も変はらず
- 歌の意味
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浅茅の生える野辺の方こそ枯れ、離れてゆくのでしょう。山賤の垣根の草である私は、色も変わっていない。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1245
詞書「御返し」
秋冬の景物に寄せて疎遠を嘆く一連の五首目で、前歌への返しである。浅茅の生える野辺こそ枯れるのだろう、山賤の垣根の草は色も変わらない、と答える。
作者は「読人しらず」とあり、名は伝わらない。前歌で醍醐天皇が歌を贈った人である。
初句「浅茅生ふる」は、丈の低い茅が生えている、の意である。前歌の「野辺の草葉」を受けて、荒れた野の景に置き換える。
二句「野辺やかるらむ」の「かる」は、草が「枯る」意と、人が「離る」意とを掛ける掛詞である。前歌の結句「かれまさるらむ」を同じ語で受け、離れてゆくのはそちらの方ではないかと切り返す。二句切れとなる。
三句「山賤の」は、山里に住む身分の低い者、の意で、作者が自らを卑下して言う。
四句「垣ほの草は」は、垣根に生える草で、作者自身をたとえる。古今集恋四の読人しらずの歌「あな恋し今も見てしか山がつの垣ほに咲ける大和撫子」にも、山賤の垣ほの草花が詠まれている。
結句「色も変はらず」は、心変わりしないことを、草の色が変わらないことで示す。霜に枯れる草葉という前歌の景を逆手にとり、自分は変わらないと答えて結ぶ。
あさぢ:丈の低い茅
かる:草木が枯れる意と、人が離れる意を掛ける
やまがつ:山里に住む身分の低い人
かきほ:垣根
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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霜さやぐ野辺の草葉にあらねども などか人目のかれまさるらむ
- 次の歌
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霞むらむほどをも知らず時雨つつ 過ぎにし秋の紅葉をぞ見る