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青柳のいと乱れたるこのころは
一筋にしも思ひよられじ

歌の意味
青柳の糸がたいそう乱れているこのごろは、あなたのお心も乱れていて、私一人にひとすじに思いを寄せてはくださらないでしょう。
鑑賞
巻第十四 恋歌四 1251

詞書「御返し」
 宮廷の人々の贈答を並べる一連の四首目で、前歌への返しである。青柳の糸が乱れているこのごろは、私一人にひとすじに思いを寄せてはいただけないでしょう、と答える。
 作者の「女御藤原生子」は、藤原教通の娘で、後朱雀天皇の女御となり、梅壺女御と呼ばれた。

 初句「青柳の」は、前歌の三句「青柳の」をそのまま受ける。
 二句「いと乱れたる」の「いと」は、青柳の「糸」と、たいそう、の意の「いと」を掛ける。前歌の「いとど乱れて」を受け、糸の乱れを、天皇の心が多くの女御に分かれていることに転じる。
 三句「このころは」は、麗景殿女御が入内したこのごろ、を言う。
 四句「一筋にしも」の「一筋」は糸の縁語で、一途に、の意である。「しも」は強意で、乱れた糸に対して一筋を置いている。
 結句「思ひよられじ」の「じ」は打消推量で、一筋に思いを寄せてはくださるまい、の意である。天皇の恋しいという訴えを、他の女御の存在を踏まえてやんわりとかわしている。

いと:青柳の糸の意と、たいそうの意を掛ける
ひとすぢ:一本の糸、一途であること
おもひよる:思いを寄せる
作者
藤原生子
出典
新古今和歌集
前の歌
春雨の降りしくころか青柳の いとど乱れて人ぞ恋しき
次の歌
青柳の糸はかたがたなびくとも 思ひそめてむ色は変はらじ