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青柳の糸はかたがたなびくとも
思ひそめてむ色は変はらじ

歌の意味
青柳の糸があちらこちらになびくように、私の心がほうぼうに向くことがあっても、あなたを思い初めて心に染めた色は変わるまい。
鑑賞
巻第十四 恋歌四 1252

詞書「又遣はしける」
 宮廷の人々の贈答を並べる一連の五首目である。青柳の糸があちこちになびくように心がほうぼうに向いても、思い初めた色は変わるまいと詠む。詞書によれば、前歌の返しを受けて重ねて贈った歌である。
 作者の「後朱雀院御歌」は後朱雀天皇である。一条天皇の皇子で、母は藤原彰子である。皇后禎子内親王との間に後三条天皇をもうけた。後朱雀院御歌は後朱雀天皇の御製の意である。
 女御は次歌の第千二百五十三首で答えている。
 なお本文の結句は「色は変はらじ」とあり、読み仮名の行の「いろそかはらし」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。

 初句「青柳の」は、前歌と同じ初句で、贈答の語を引き継ぐ。
 二句「糸はかたがた」の「かたがた」は、あちらこちら、の意である。本巻の第千二百四十首で、同じ後朱雀天皇の皇后であった陽明門院が「かたがたに引き別れつつ」と詠んだ語でもある。
 三句「なびくとも」は逆接仮定で、糸がほうぼうになびいても、の意である。心が他の女御に向くことがあっても、と前歌の「一筋にしも」に答える。
 四句「思ひそめてむ」の「そめ」は、思い「初め」る意と、色に「染め」る意とを掛ける掛詞である。「てむ」は完了の「つ」に推量の「む」が付いたもので、下の「色」にかかる。
 結句「色は変はらじ」は、染めた色は変わるまい、の意である。「色」は「染め」の縁語で、青柳の緑の色と一途な思いとを重ねて誓っている。

かたがた:あちらこちら
なびく:風などに従って揺れる、心が寄る
そむ:思い初める意と、色に染める意を掛ける
作者
後朱雀天皇
出典
新古今和歌集
前の歌
青柳のいと乱れたるこのころは 一筋にしも思ひよられじ
次の歌
浅緑深くもあらぬ青柳は 色変はらじといかが頼まむ