さして行く山の端もみなかき曇り
心の空に消えし月影
- 歌の意味
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目指して行った山の端もすっかり曇ってしまい、私の心の空の中で消えてしまった月の光なのだ。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1263
詞書「返し」
月に寄せる恋を詠む一連の八首目で、前歌への返しである。月が目指して行く山の端もすっかり曇り、月は心の空で消えてしまったのだと答える。
作者は「よみ人しらず」とあり、名は伝わらない。前歌で紫式部が歌を贈った相手である。
なお本文は四句を「山の葉」と表記するが、山の端の意であり、ここでは「山の端」と表記する。
初句「さして行く」の「さし」は、目指して行く意と、月の光が射す意とを掛ける掛詞である。
二句「山の端もみな」は、前歌の「入る方」を受け、月の沈む先である山の端を挙げる。行き先がほかにあったという前歌の非難に答える。
三句「かき曇り」は、すっかり曇って、の意である。「かき」は意味を強める接頭語である。
四句「心の空に」は、前歌の「うはのそら」を受け、空を心の空に置き換える。
結句「消えし月影」は体言止めで、前歌の三句「月影を」と同じ語で結ぶ。行き先がはっきりしていたのではなく、心が曇って月そのものが消えてしまったのだと弁明し、前歌の「さやか」に「かき曇り」を対させている。
さす:目指す意と、光が射す意を掛ける
やまのは:山の稜線、空と接するあたり
かきくもる:空が一面に曇る
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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入る方はさやかなりける月影を うはのそらにも待ちし宵かな
- 次の歌
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今はとて別れしほどの月をだに 涙にくれてながめやはせし