面影の忘れぬ人によそへつつ
入るをぞ慕ふ秋の夜の月
- 歌の意味
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面影の忘れられない人になぞらえながら、沈んでゆくのを慕い惜しむことだ、秋の夜の月を。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1265
詞書は前の歌に続き「題しらず」
月に寄せる恋を詠む一連の十首目である。面影の忘れられない人になぞらえて、沈んでゆく秋の夜の月を慕うと詠む。詞書は前歌に続いて題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「肥後」は、肥後守藤原定成の娘と伝えられる、平安時代後期の女房歌人である。
初句「面影の」は、目に浮かぶ姿、の意である。
二句「忘れぬ人に」は、面影の忘れられない人に、の意で、今は会えない恋人を言う。
三句「よそへつつ」は、なぞらえながら、の意である。月を恋人の姿に見立てる。
四句「入るをぞ慕ふ」の「入る」は月が沈むことで、本巻の第千二百六十二首の紫式部の歌の初句「入る方は」と同じ語である。「ぞ」は係助詞で、「慕ふ」は連体形で結ぶ。去ってゆく恋人を追い慕うさまを月の入りに重ねる。
結句「秋の夜の月」は体言止めで、倒置によって慕う対象を最後に示す。月に恋人を見る一連の中で、秋の夜の月の澄んだ明るさが面影の鮮やかさを思わせる。
おもかげ:目に浮かぶ姿
よそふ:なぞらえる、比べる
したふ:去ってゆくものを追い慕う、名残を惜しむ
- 作者
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肥後
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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今はとて別れしほどの月をだに 涙にくれてながめやはせし
- 次の歌
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憂き人の月はなにぞのゆかりぞと 思ひながらもうちながめつつ