もの思ひてながむるころの月の色に
いかばかりなるあはれ染むらむ
- 歌の意味
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もの思いにふけって眺めるこのごろの月の色に、どれほどのあわれが染みこんでいるのだろう。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1269
詞書は前の歌に続き「題しらず」
月に寄せる恋を詠む一連の十四首目である。もの思いにふけって眺めるこのごろの月の色には、どれほどのあわれが染みこんでいるのだろうと詠む。詞書は前歌に続いて題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
原文には作者名がなく、前歌に続いて西行の歌である。西行は俗名を佐藤義清といい、鳥羽院の北面の武士であったが、二十三歳で出家し、諸国を旅して歌を詠んだ。
初句「もの思ひて」は六音の字余りで、恋のもの思いにふけって、の意である。
二句「ながむるころの」の「ながむ」は、もの思いにふけって見やる、の意である。
三句「月の色に」も六音の字余りである。月の光を「色」と捉え、結句の「染む」と縁語で結ぶ。
四句「いかばかりなる」は、どれほどの、の意である。
結句「あはれ染むらむ」の「らむ」は現在推量で、どれほどのあわれが染みこんでいるのだろう、の意である。前歌で涙が月をやつしたと詠んだのを受け、ここでは見る者の思いが月の色に染みこむと詠み、月と心とが溶け合うさまを示す。
ながむ:もの思いにふけって見やる
しむ:色が染みこむ
- 作者
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西行
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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隈もなき折しも人を思ひ出でて 心と月をやつしつるかな
- 次の歌
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曇れかしながむるからに悲しきは 月におぼゆる人の面影