我が涙もとめて袖に宿れ月
さりとて人の影は見ねども
- 歌の意味
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私の涙を求めて、袖に宿ってくれ、月よ。そうしたからといって、あの人の面影が見えるわけではないけれど。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1273
詞書は前の歌に続き「千五百番歌合に」
月に寄せる恋を詠む一連の十八首目である。私の涙を求めて袖に宿れ、月よ、そうしたところであの人の姿が見えるわけではないけれど、と詠む。詞書は前歌に続き、千五百番歌合に出詠した歌である。
原文には作者名がなく、前歌に続いて藤原良経の歌である。関白九条兼実の子で、摂政、太政大臣に至り、後京極摂政と呼ばれた。
なお本文の結句は「影は見ねども」とあり、読み仮名の行の「かけはみえねと」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「我が涙」は、恋の涙である。
二句「もとめて袖に」は、涙を求めて袖に、の意である。袖にたまった涙に月が映ることを、月が涙を求めて宿ると見なす。
三句「宿れ月」は命令で、宿れ、月よ、の意の三句切れである。前歌で浮雲に月を隔てるなと呼びかけたのを受け、ここでは月そのものに呼びかける。
四句「さりとて人の」の「さりとて」は、そうだからといって、の意である。
結句「影は見ねども」は、面影が見えるわけではないけれど、の意である。「影」は月の光と人の姿との両方に通い、袖に月は宿っても人の影は宿らないという嘆きを、倒置で添えて結ぶ。
やどる:光や影が映る、とどまる
かげ:姿、面影、また月の光
- 作者
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藤原良経
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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めぐりあはむ限りはいつと知らねども 月な隔てそよその浮雲
- 次の歌
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恋ひわぶる涙や空に曇るらむ 光も変はる閨の月影