そのままに松の嵐も変はらぬを
忘れやしぬる更けし夜の月
- 歌の意味
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あの夜のままに松を吹く嵐の音も変わらないのに、あの人は忘れてしまったのだろうか、二人で夜更けまで眺めた月を。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1280
詞書は前の歌に続き「題しらず」
月に寄せる恋を詠む一連の二十五首目である。松を吹く嵐の音もあの夜のままなのに、あの人は夜更けまで共に見た月を忘れてしまったのかと詠む。詞書は前歌に続いて題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「法眼宗円」は、法眼の僧位にあった僧である。法眼は、法印に次ぐ僧位である。
初句「そのままに」は、あの夜のままに、の意である。
二句「松の嵐も」は、松を吹く激しい風も、の意である。月だけでなく、音までもがあの夜と変わらないことを示す。
三句「変はらぬを」の「を」は逆接で、変わらないのに、の意である。前歌の「今は心の変はるとも」を受け、景物の変わらなさと人の心の変わりやすさとを対比する。
四句「忘れやしぬる」の「や」は疑問で、忘れてしまったのか、の意である。
結句「更けし夜の月」は体言止めである。前歌で月に忘れるなと頼んだのに対し、ここでは忘れたのは月ではなく人の方ではないかと問いかける。
あらし:激しく吹く風
ふく:夜が更ける
- 作者
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宗円
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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忘るなよ今は心の変はるとも 慣れしその夜の有明の月
- 次の歌
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人ぞ憂き頼めぬ月はめぐり来て 昔忘れぬ蓬生の宿