習ひ来し誰が偽りもまだ知らで
待つとせしまの庭の蓬生
- 歌の意味
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世の習いとなってきた男の偽りというものが、誰のことなのかもまだ知らずに、ただ待とうとしていた間に、庭は蓬の生い茂るままになってしまった。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1285
詞書「千五百番歌合に」
荒れた宿に訪れのない恋を詠む一連の一首目である。世の習いとなってきた偽りが誰のものかも知らずに待とうとしていた間に、庭は蓬の生い茂るままになったと詠む。詞書によれば、千五百番歌合に出詠した歌である。
作者の「皇太后宮大夫俊成女」は俊成卿女である。皇太后宮大夫藤原俊成の孫で、その養女となった。本巻の第千二百七十六首の作者源通具の妻である。
初句「習ひ来し」は、世の習いとなってきた、の意である。男の偽りは昔からよくあることとされてきたことを示す。
二句「誰が偽りも」は、誰の偽りということも、の意である。
三句「まだ知らで」は、まだ知らないで、の意である。偽りが世の常と知りながら、それが自分の恋人のことだとは思わずにいた心を示す。
四句「待つとせしまの」は、待とうとしていた間の、の意である。
結句「庭の蓬生」は体言止めである。前歌の結句「蓬生の宿」を受け、待つ間に過ぎた月日の長さを、庭に生い茂った蓬によって示す。ここから荒れた宿に訪れのない恋を詠む一連が始まる。
ならふ:習慣となる、慣れる
いつはり:偽り、うそ
よもぎふ:蓬の生い茂った所、荒れた家
- 作者
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俊成卿女
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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松山と契りし人はつれなくて 袖越す波に残る月影
- 次の歌
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跡絶えて浅茅が末になりにけり 頼めし宿の庭の白露