風吹かば峰に別れむ雲をだに
ありしなごりの形見とも見よ
- 歌の意味
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風が吹けば峰で別れてゆくであろう雲をさえも、せめてかつての二人のなごりの形見と見てほしい。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1292
詞書は前の歌に続き「摂政太政大臣家百首歌合に」
忘れられてゆく恋を詠む一連の二首目である。風が吹けば峰で別れてゆく雲をさえ、かつての二人のなごりの形見と見てほしいと詠む。詞書は前歌に続き、藤原良経の家で催された百首歌の歌合に出詠した歌である。
作者の「家隆朝臣」は藤原家隆である。藤原光隆の子で、藤原俊成に歌を学び、新古今和歌集の撰者の一人となった。のちに従二位に至り、壬生二品と呼ばれた。
古今集恋二の壬生忠岑の歌「風吹けば峰にわかるる白雲の絶えてつれなき君が心か」を本歌とする。
初句「風吹かば」は、風が吹いたら、の意の仮定である。本歌の「風吹けば」を仮定の形に改めている。
二句「峰に別れむ」は、峰で左右に別れてゆくだろう、の意で、本歌の「峰にわかるる」を受ける。雲の別れに二人の別れを重ねる。
三句「雲をだに」の「だに」は、せめて〜だけでも、の意である。
四句「ありしなごりの」は、かつての二人のなごりの、の意である。
結句「形見とも見よ」は、形見とでも見てくれ、の意の命令である。本歌が雲の別れに相手のつれなさを見たのに対し、ここでは別れてゆく雲さえも形見と見てほしいと願い、忘れられることへの嘆きを込めている。
なごり:物事が過ぎ去ったあとに残るもの
かたみ:思い出のよすがとなる物
- 作者
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藤原家隆
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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忘れずは慣れし袖もや凍るらむ 寝ぬ夜の床の霜のさむしろ
- 次の歌
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言はざりき今来むまでの空の雲 月日隔てて物思へとは