言はざりき今来むまでの空の雲
月日隔てて物思へとは
- 歌の意味
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言いはしなかった。すぐに来るというその時までの空の雲のように、月日を隔てて、もの思いをしていろとは。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1293
詞書「百首歌奉りし時」
忘れられてゆく恋を詠む一連の三首目である。すぐに来るまでの間、空の雲のように月日を隔ててもの思いをしていろとは言わなかったと詠む。詞書によれば、百首歌を奉ったときの歌である。
作者の「摂政太政大臣」は藤原良経である。関白九条兼実の子で、摂政、太政大臣に至り、後京極摂政と呼ばれた。新古今和歌集の仮名序を執筆した。
初句「言はざりき」は、言いはしなかった、の意の初句切れである。「き」は過去で、約束の場で言われなかったことを強く示す。
二句「今来むまでの」は、すぐに来るというその時までの、の意である。本巻の第千二百七十六首と同じく、素性の歌以来の「今来む」という約束の言葉を用いる。
三句「空の雲」は、前歌の峰の雲を受け、二人を隔てるものとして空の雲を挙げる。
四句「月日隔てて」の「月日」は、空の縁で、空に出る月と日を思わせる。雲が月と日を隔てるように、長い月日が二人を隔てる。
結句「物思へとは」は、もの思いをしていろとは、の意である。初句の「言はざりき」に倒置で続き、すぐ来ると言った言葉の裏で、月日を隔てた物思いを強いられた恨みを示す。
へだつ:間を隔てる
ものおもふ:恋のもの思いをする
- 作者
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藤原良経
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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風吹かば峰に別れむ雲をだに ありしなごりの形見とも見よ
- 次の歌
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思ひ出でよ誰がかねごとの末ならむ 昨日の雲の跡の山風