思ひ出でよ誰がかねごとの末ならむ
昨日の雲の跡の山風
- 歌の意味
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思い出してくれ。これはいったい誰の約束の行き着いた果てなのだろう。昨日の雲が去ったあとに吹く山風は。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1294
詞書「千五百番歌合に」
忘れられてゆく恋を詠む一連の四首目である。思い出してくれ、これは誰の約束の果てなのか、昨日の雲が去ったあとに山風が吹くばかりだと詠む。詞書によれば、千五百番歌合に出詠した歌である。
作者の「家隆朝臣」は藤原家隆である。藤原光隆の子で、藤原俊成に歌を学び、新古今和歌集の撰者の一人となった。のちに従二位に至り、壬生二品と呼ばれた。
千五百番歌合は、後鳥羽院が建仁元年(1201)に三十人の歌人に百首歌を詠ませ、翌年にかけて千五百番に番えて判を加えた、史上最大の歌合である。
初句「思ひ出でよ」は、思い出してくれ、の意の命令で、六音の字余りであり、初句切れとなる。
二句「誰がかねごとの」の「かねごと」は、前もって交わした約束の言葉である。誰の、と問うことで、約束したのが相手自身であることを思い出させる。
三句「末ならむ」は、行き着いた果てなのだろうか、の意の三句切れである。
四句「昨日の雲の」は、昨日まであった雲の、の意である。前歌の「空の雲」を受け、去ってしまった雲に、去ってしまった恋人を重ねる。
結句「跡の山風」は体言止めである。雲の去った跡に吹く山風を、約束の果てに残ったものとして示し、むなしさを景に託して結ぶ。
かねごと:前もって交わした約束の言葉
すゑ:行き着く果て
- 作者
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藤原家隆
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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言はざりき今来むまでの空の雲 月日隔てて物思へとは
- 次の歌
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忘れゆく人ゆゑ空をながむれば 絶え絶えにこそ雲も見えけれ