疎くなる人を何とて恨むらむ
知られず知らぬ折もありしに
- 歌の意味
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疎遠になってゆく人を、どうして恨むのだろう。互いに知られもせず、知りもしなかった時もあったのに。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1297
詞書は前の歌に続き「題しらず」
忘れられてゆく恋を詠む一連の七首目である。疎遠になってゆく人をどうして恨むのか、互いに知らない時もあったのに、と詠む。詞書は前歌に続いて題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「西行法師」は、俗名を佐藤義清といい、鳥羽院の北面の武士であったが、二十三歳で出家し、諸国を旅して歌を詠んだ。
なお本文の冒頭には「〈墨〉°」の記号があるが、歌の本文ではないため除いた。
初句「疎くなる」は、疎遠になってゆく、の意である。前歌までの「忘る」を、疎くなるという穏やかな語に言い換える。
二句「人を何とて」の「何とて」は、どうして、の意である。
三句「恨むらむ」の「らむ」は原因推量で、どうして恨むのだろう、の意の三句切れである。恨む自分を、もう一人の自分が問いただす形である。
四句「知られず知らぬ」は、相手に知られもせず、自分も相手を知らなかった、の意である。同じ「知る」を受身と能動で重ねている。
結句「折もありしに」は、そういう時もあったのに、の意である。出会う前の、互いに見知らぬ二人に戻っただけだという理屈を差し向け、前歌の死ぬこともかなわない嘆きを、恨みそのものを問い直すことで静めている。
うとし:疎遠である、親しくない
をり:時、機会
- 作者
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西行
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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忘れなば生けらむものかと思ひしに それもかなはぬこの世なりけり
- 次の歌
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今ぞ知る思ひ出でよと契りしは 忘れむとての情けなりけり