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逢ひ見しは昔語りのうつつにて
そのかねごとを夢になせとや

歌の意味
あなたと逢ったのは、今では昔語りとなってしまった現実のことで、そのときの約束を夢にしてしまえというのか。
鑑賞
巻第十四 恋歌四 1299

詞書「建仁元年三月歌合に遇不遇恋の心を」
 逢って後に逢えなくなった恋を詠む一連の一首目である。逢ったのは昔語りとなった現実のことで、そのときの約束を夢にしてしまえというのかと詠む。詞書によれば、建仁元年(1201)三月の歌合で、遇不遇恋の題を詠んだ歌である。
 作者の「土御門内大臣」は源通親である。村上源氏の出で、内大臣に至り、後鳥羽院の近臣として権勢を振るった。源通具、源通光の父である。
 遇不遇恋は、一度は逢ったものの、その後は逢えなくなった恋を言う題である。

 初句「逢ひ見しは」は、逢ったのは、の意である。遇不遇恋の題の「遇」にあたる。
 二句「昔語りの」は、今では昔話となった、の意である。
 三句「うつつにて」は、現実のことであって、の意である。逢ったのは確かに現実であったが、それも今では昔語りにすぎないことを示す。
 四句「そのかねごとを」は、そのときの約束を、の意である。本巻の第千二百九十四首の家隆の歌の「かねごと」と同じ語である。
 結句「夢になせとや」は、夢にしてしまえというのか、の意である。逢瀬の現実と約束の夢とを対比させ、一度逢ったのに逢えなくなった題の心を、うつつと夢の反転で詠んでいる。

あひみる:男女が逢う、契りを結ぶ
うつつ:現実
かねごと:前もって交わした約束の言葉
作者
源通親
出典
新古今和歌集
前の歌
今ぞ知る思ひ出でよと契りしは 忘れむとての情けなりけり
次の歌
あはれなる心の闇のゆかりとも 見し夜の夢を誰か定めむ