あはれなる心の闇のゆかりとも
見し夜の夢を誰か定めむ
- 歌の意味
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恋に迷うあわれな心の闇がもたらしたものだとも、あなたと逢ったあの夜の夢のことを、いったい誰が定められよう。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1300
詞書は前の歌に続き「建仁元年三月歌合に遇不遇恋の心を」
逢って後に逢えなくなった恋を詠む一連の二首目である。逢ったあの夜の夢を、恋に迷う心の闇のせいだと誰が定められようと詠む。詞書は前歌に続き、建仁元年三月の歌合で遇不遇恋の題を詠んだ歌である。
作者の「権中納言公経」は西園寺公経である。内大臣藤原実宗の子で、のちに太政大臣に至り、西園寺家の祖となった。権中納言は本集成立時の官職である。
古今集恋三の在原業平の歌「かきくらす心の闇に惑ひにき夢うつつとは世人定めよ」を踏まえる。この歌は『伊勢物語』にも見える。
なお本文の初句は「あはれなる」とあり、読み仮名の行の「あはれなそ」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「あはれなる」は、しみじみと悲しい、恋に心乱れる、の意である。
二句「心の闇の」は、恋に迷って分別を失った心を闇にたとえた語で、業平の歌の「心の闇」を受ける。
三句「ゆかりとも」は、それがもたらしたものだとも、の意である。
四句「見し夜の夢を」は、逢ったあの夜の夢を、の意である。前歌の「夢になせとや」を受け、逢瀬そのものが夢であったかと疑う。
結句「誰か定めむ」は反語で、誰が定められようか、の意である。業平が夢かうつつかは世の人が定めよと詠んだのに対し、ここでは誰にも定められないと返し、逢瀬の記憶が夢とも現実ともつかないまま残ることを示す。
こころのやみ:恋などに迷って分別を失った心
ゆかり:縁、つながり
さだむ:決める、判断する
- 作者
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西園寺公経
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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逢ひ見しは昔語りのうつつにて そのかねごとを夢になせとや
- 次の歌
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契りきやあかぬ別れに露置きし 暁ばかり形見なれとは