契りきやあかぬ別れに露置きし
暁ばかり形見なれとは
- 歌の意味
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約束しただろうか。名残の尽きない別れに涙の露を置いたあの暁だけが、形見であれとは。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1301
詞書は前の歌に続き「建仁元年三月歌合に遇不遇恋の心を」
逢って後に逢えなくなった恋を詠む一連の三首目である。名残尽きない別れに涙の露を置いたあの暁だけが形見であれとは、約束しただろうかと詠む。詞書は前歌に続き、建仁元年三月の歌合で遇不遇恋の題を詠んだ歌である。
作者の「右衛門督通具」は源通具である。内大臣源通親の子で、源通光の兄にあたる。新古今和歌集の撰者の一人で、右衛門督は本集成立時の官職である。
初句「契りきや」は、約束しただろうか、の意の初句切れで、「や」は反語である。後拾遺集の清原元輔の歌「契りきなかたみに袖をしぼりつつ末の松山波越さじとは」の初句「契りきな」を思わせる言い出しで、元輔の歌も結句を「とは」で結んでいる。
二句「あかぬ別れに」は、名残の尽きない別れに、の意である。
三句「露置きし」は、涙の露が置いた、の意である。暁の露に別れの涙を重ねる。
四句「暁ばかり」は、あの暁だけが、の意である。ただ一度の逢瀬の別れの暁を言う。
結句「形見なれとは」は、形見であれとは、の意で、初句に倒置で続く。一度逢っただけでその後は逢えなくなった題の心を、ただ一度の暁だけが形見に残ったと詠んでいる。本巻の第千二百九十九首は作者の父源通親の歌であり、父子の歌が同じ題で並べられている。
あく:満ち足りる、飽きる
かたみ:思い出のよすがとなる物
- 作者
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源通具
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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あはれなる心の闇のゆかりとも 見し夜の夢を誰か定めむ
- 次の歌
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恨みわび待たじ今はの身なれども 思ひ慣れにし夕暮れの空