忘れじの言の葉いかになりにけむ
頼めし暮れは秋風ぞ吹く
- 歌の意味
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忘れまいというあの言葉は、どうなってしまったのだろう。来ると頼みにさせた夕暮れには、秋風が吹くばかりだ。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1303
詞書は前の歌に続き「建仁元年三月歌合に遇不遇恋の心を」
逢って後に逢えなくなった恋を詠む一連の五首目である。忘れまいという言葉はどうなったのか、来ると頼みにさせた夕暮れには秋風が吹くばかりだと詠む。詞書は前歌に続き、建仁元年三月の歌合で遇不遇恋の題を詠んだ歌である。
作者の「宜秋門院丹後」は、後鳥羽天皇の中宮宜秋門院任子に仕えた女房である。
初句「忘れじの」は、忘れまいという、の意である。本巻の第千二百七十七首の初句「忘れじと」と同じく、恋人の誓いの言葉を挙げる。
二句「言の葉いかに」の「言の葉」は、言葉を葉にたとえた語で、結句の「秋風」と縁語で結ばれる。
三句「なりにけむ」は、どうなってしまったのだろう、の意の三句切れである。「けむ」は過去の推量を表す。
四句「頼めし暮れは」は、来ると頼みにさせた夕暮れは、の意である。前歌の「夕暮れの空」を受ける。
結句「秋風ぞ吹く」は、「ぞ」の係り結びで「吹く」と連体形で結ぶ。秋風は木の葉を散らす風であり、人の心の飽きを思わせる景物として詠まれてきた。言の葉が秋風に散ってしまったかのような景で結び、次歌から始まる風の歌へと続いてゆく。
ことのは:言葉、葉にたとえていう
たのむ:あてにさせる、約束する
- 作者
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宜秋門院丹後
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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恨みわび待たじ今はの身なれども 思ひ慣れにし夕暮れの空
- 次の歌
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思ひかねうち寝る宵もありなまし 吹きだにすさべ庭の松風