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さらでだにうらみむと思ふ我妹子が
衣の裾に秋風ぞ吹く

歌の意味
そうでなくてさえ私を恨もうと思っている恋人の、衣の裾を秋風が吹いて裏返している。
鑑賞
巻第十四 恋歌四 1305

詞書は前の歌に続き「家に百首歌合し侍りけるに」
 風に寄せて恋人を待つ心を詠む一連の二首目である。そうでなくてさえ恨もうと思っている恋人の衣の裾に、秋風が吹いて裏を返していると詠む。詞書は前歌に続き、藤原良経の家で催された百首歌の歌合に出詠した歌である。
 作者の「有家朝臣」は藤原有家である。藤原重家の子で、新古今和歌集の撰者の一人である。朝臣は五位以上の者に付ける敬称である。

 初句「さらでだに」は、そうでなくてさえ、の意である。
 二句「うらみむと思ふ」の「うらみ」は、「恨み」と、衣の裏を見せる「裏見」とを掛ける掛詞である。
 三句「我妹子が」は、いとしい女、恋人の、の意である。男の立場から、待たせている女の恨みを思いやる。
 四句「衣の裾に」は、恋人の衣の裾に、の意で、秋風に翻る裾の裏を示す。
 結句「秋風ぞ吹く」は、「ぞ」の係り結びで「吹く」と連体形で結ぶ。前歌で待つ側が松風を嘆いたのに対し、ここでは待たせる男の側から、秋風に裏を返す恋人の衣に、いっそうつのる恨みを見ている。

うらむ:恨む意と、衣の裏を見せる裏見の意を掛ける
わぎもこ:いとしい女、妻や恋人
作者
藤原有家
出典
新古今和歌集
前の歌
思ひかねうち寝る宵もありなまし 吹きだにすさべ庭の松風
次の歌
心にはいつもあきなる寝覚めかな 身にしむ風の幾夜ともなく