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いつも聞くものとや人の思ふらむ
来ぬ夕暮れの秋風の声

歌の意味
いつも聞いている、ありふれたものとあの人は思っているのだろうか。あの人の来ない夕暮れに聞く、秋風の声を。
鑑賞
巻第十四 恋歌四 1310

詞書「家歌合に」
 風に寄せて恋人を待つ心を詠む一連の七首目である。あの人の来ない夕暮れの秋風の声を、あの人はいつも聞くありふれたものと思っているのだろうかと詠む。詞書によれば、作者の家で催された歌合の歌である。
 作者の「摂政太政大臣」は藤原良経である。関白九条兼実の子で、摂政、太政大臣に至り、後京極摂政と呼ばれた。新古今和歌集の仮名序を執筆した。

 初句「いつも聞く」は、いつも聞いている、の意である。前歌の「聞くものを」を受ける。
 二句「ものとや人の」の「や」は疑問で、三句の「らむ」と呼応する。「人」は恋人を指す。
 三句「思ふらむ」は、思っているのだろうか、の意の三句切れである。
 四句「来ぬ夕暮れの」は、あの人の来ない夕暮れの、の意である。
 結句「秋風の声」は体言止めである。同じ秋風でも、人の来ない夕暮れに聞く声はまったく違って聞こえることを、相手は知るまいと恨む。前歌の式子内親王が聞き流すと詠んだ風の音を、ここでは聞き流せない特別な声として示している。

こゑ:声、音
作者
藤原良経
出典
新古今和歌集
前の歌
今はただ心のほかに聞くものを 知らず顔なる荻の上風
次の歌
心あらば吹かずもあらなむ宵々に 人待つ宿の庭の松風