さてもなほ問はれぬ秋の夕は山
雲吹く風も峰に見ゆらむ
- 歌の意味
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それでもなお、あの人に訪ねてもらえない秋の夕暮れの山よ。雲を吹き払う風さえも、峰に吹くのが見えているだろうに。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1316
詞書「和歌所の歌合に深山恋といふことを」
和歌所と水無瀬の歌合の恋歌を並べる一連の五首目である。それでもなお訪ねてもらえない秋の夕暮れの山では、雲を吹く風さえ峰に見えているだろうにと詠む。詞書によれば、和歌所の歌合で深山恋の題を詠んだ歌である。
作者の「家隆朝臣」は藤原家隆である。藤原光隆の子で、藤原俊成に歌を学び、新古今和歌集の撰者の一人となった。のちに従二位に至り、壬生二品と呼ばれた。
深山恋は、深い山にこもる身の恋、また深い山に寄せる恋を詠む題である。
なお本文の四句は「雲吹く風も」とあり、読み仮名の行の「くもふくかせの」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「さてもなほ」は、それでもやはり、の意である。深い山に住む身であれば訪れがないのも当然だと思いながら、なお恨む心を示す。
二句「問はれぬ秋の」は、訪ねてもらえない秋の、の意である。
三句「夕は山」は、秋の夕べの山、の意である。夕暮れは人の訪れを待つ時刻であり、深山恋の題の山をここに据える。
四句「雲吹く風も」は、峰の雲を吹き払う風も、の意である。雲にさえ風は訪れることを言う。
結句「峰に見ゆらむ」の「らむ」は現在推量で、峰に見えているだろう、の意である。雲には訪れる風があるのに、自分には訪れる人がないという対比を、遠く峰の景に託して結ぶ。
とふ:訪ねる
みね:山の頂
- 作者
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藤原家隆
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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草枕結び定めむ方知らず 慣らはぬ野辺の夢の通ひ路
- 次の歌
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おもひいる深き心のたよりまで 見しはそれともなき山路かな