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ながめても哀れと思へおほかたの
空だに悲し秋の夕暮れ

歌の意味
私がもの思いにふけって眺めているのを見ても、あわれと思ってくれ。ありふれた空でさえ悲しい、秋の夕暮れなのだから。
鑑賞
巻第十四 恋歌四 1318

詞書「題しらず」
 秋の景物に寄せて恋の嘆きを詠む一連の一首目である。もの思いに眺めている私をあわれと思ってくれ、ありふれた空でさえ悲しい秋の夕暮れなのだからと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
 作者の「鴨長明」は、下鴨神社の禰宜鴨長継の子で、和歌所の寄人となり、のちに出家して『方丈記』を著した。俊恵に和歌を学んだ。

 初句「ながめても」は、私がもの思いにふけって眺めているのを見ても、の意である。
 二句「哀れと思へ」は、あわれと思ってくれ、の意の命令で、二句切れとなる。つれない恋人に向けた訴えである。
 三句「おほかたの」は、世間並みの、ありふれた、の意である。本巻の第千三百十四首の有家の歌の「おほかたの露」と同じ語で、ありふれたものを挙げて重いものを類推させる構えも共通する。
 四句「空だに悲し」の「だに」は、〜さえ、の意である。ふつうの空でさえ悲しいのだから、まして恋に沈む者の眺める空はどれほどか、と言外に示す。
 結句「秋の夕暮れ」は体言止めである。ここから秋の景物に寄せる一連が始まり、本巻の第千三百二十二首の慈円の歌も同じ結句で結ばれている。

ながむ:もの思いにふけって見やる
おほかた:世間一般、ふつう
作者
鴨長明
出典
新古今和歌集
前の歌
おもひいる深き心のたよりまで 見しはそれともなき山路かな
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言の葉のうつりし秋も過ぎぬれば 我が身時雨とふる涙かな