咽ぶとも知らじな心かはらやに
我のみ消たぬ下の煙は
- 歌の意味
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私がむせび泣いているとも、心変わりしたあの人は知らないだろうな。瓦を焼く小屋の煙のように、私ばかりが消さずにいる、胸の奥にくすぶる思いの煙は。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1324
詞書は前の歌に続き「被忘恋の心を」
秋の景物に寄せて恋の嘆きを詠む一連の七首目である。瓦を焼く小屋の煙のように、私ばかりが消さずにいる胸の奥の思いにむせんでいるとも、心変わりしたあの人は知るまいと詠む。詞書は前歌に続き、被忘恋の題を詠んだ歌である。
作者の「定家朝臣」は藤原定家である。藤原俊成の子で、新古今和歌集の撰者の一人である。のちに新勅撰和歌集を単独で撰進した。
初句「咽ぶとも」は、むせび泣いているとも、の意である。煙にむせぶ意を重ね、四句以下の煙へとつなぐ。
二句「知らじな心」の「じ」は打消推量、「な」は詠嘆で、知らないだろうな、の意である。
三句「かはらやに」の「かはら」は、「心変はら」と、瓦を焼く「瓦屋」とを掛ける掛詞である。二句の「心」から「心変はら」と続け、同時に瓦屋の景を導く。
四句「我のみ消たぬ」は、私だけが消さずにいる、の意である。
結句「下の煙は」は、胸の奥でくすぶる思いの煙は、の意である。瓦屋の火は下で燃え続けて煙を上げるものであり、忘れられてもなお消えない恋の火を、倒置によって最後に示している。
むせぶ:煙などで息がつまる、むせび泣く
かはらや:心変わりの意と、瓦を焼く小屋の意を掛ける
けつ:消す
したのけぶり:胸の奥にくすぶる思い
- 作者
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藤原定家
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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袖の露もあらぬ色にぞ消えかへる うつれば変はる嘆きせしまに
- 次の歌
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知られじな同じ袖には通ふとも 誰が夕暮れと頼む秋風