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露払ふ寝覚めは秋の昔にて
見果てぬ夢に残る面影

歌の意味
袖の涙の露を払う寝覚めは、昔の秋のままであって、見終わらずに覚めた夢に、あの人の面影が残っている。
鑑賞
巻第十四 恋歌四 1326

詞書は前の歌に続き「被忘恋の心を」
 秋の景物に寄せて恋の嘆きを詠む一連の九首目である。袖の露を払う寝覚めは昔の秋のままで、見終わらずに覚めた夢にあの人の面影が残っていると詠む。詞書は前歌に続き、被忘恋の題を詠んだ歌である。
 作者の「皇太后宮大夫俊成女」は俊成卿女である。皇太后宮大夫藤原俊成の孫で、その養女となった。源通具の妻である。

 初句「露払ふ」は、袖に置く涙の露を払う、の意である。
 二句「寝覚めは秋の」は、夜半に目覚めることは秋の、の意で、三句に続く。
 三句「昔にて」は、昔のままであって、の意である。忘れられた今も、寝覚めの涙だけは昔の秋と変わらないことを示す。
 四句「見果てぬ夢に」は、最後まで見終わらずに覚めた夢に、の意である。
 結句「残る面影」は体言止めである。本巻の第千二百七十首の八条院高倉の歌の「人の面影」と同じく、恋人の面影を結句に据え、覚めてもなお残る面影によって、忘れられた者の忘れられない心を示している。

ねざめ:夜中に目が覚めること
みはつ:最後まで見終わる
おもかげ:目に浮かぶ姿
作者
俊成卿女
出典
新古今和歌集
前の歌
知られじな同じ袖には通ふとも 誰が夕暮れと頼む秋風
次の歌
心こそ行方も知らね三輪の山 杉の梢の夕暮れの空