生きてよも明日まで人もつらからじ
この夕暮れを問はば問へかし
- 歌の意味
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私は明日まで生きてはいまいから、あの人もまさか明日までつらく当たることはできまい。訪ねるというのなら、この夕暮れのうちに訪ねてほしい。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1329
詞書は前の歌に続き「百首歌中に」
秋の景物に寄せて恋の嘆きを詠む一連の十二首目で、一連の最後の歌である。私は明日まで生きてはいまいから、あの人も明日までつらく当たることはできまい、訪ねるならこの夕暮れに訪ねてほしいと詠む。詞書は前歌に続き、百首歌の中の一首である。
原文には作者名がなく、前歌に続いて式子内親王の歌である。式子内親王は後白河天皇の皇女で、若くして賀茂の斎院を務め、藤原俊成に和歌を学んだ。
なお本文の二句は「明日まで人も」とあり、読み仮名の行の「あすまてひとは」と一致しない。ここでは本文の表記に従う。
初句「生きてよも」の「よも」は、下の打消推量「じ」と呼応して、まさか〜まい、の意である。自分が明日まで生きていることはあるまいという思いを示す。
二句「明日まで人も」は、明日まであの人も、の意である。
三句「つらからじ」は、つらく当たることはできまい、の意の三句切れである。自分が死ねば、相手もつれなくする相手がいなくなるという理屈を立てる。
四句「この夕暮れを」は、今日のこの夕暮れを、の意である。前歌の待ち続けた月日に対し、残された時間をこの夕暮れ一つに絞っている。
結句「問はば問へかし」の「かし」は念を押す助詞で、訪ねるなら訪ねてほしい、の意である。命の限りを前に置いた切迫した訴えで、秋の景物に寄せる一連を結んでいる。
よも:まさか、よもや
つらし:つれない、冷淡である
とふ:訪ねる
- 作者
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式子内親王
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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さりともと待ちし月日ぞうつりゆく 心の花の色にまかせて
- 次の歌
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暁の涙や空にたぐふらむ 袖に落ちくる鐘の音かな