- 歌の意味
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暁の別れの涙が、空に響く鐘の音と連れ立っているのだろうか。袖に落ちてくるように聞こえる鐘の音であることよ。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1330
詞書「暁恋の心を」
涙に濡れる袖と冬の景物に寄せて恋を詠む一連の一首目である。暁の別れの涙が空の鐘の音と連れ立っているのか、袖に落ちてくるような鐘の音だと詠む。詞書によれば、暁恋の題を詠んだ歌である。
作者の「前大僧正慈円」は、関白藤原忠通の子で、天台座主を四度務め、歴史書『愚管抄』を著した。前大僧正は、前の大僧正の意である。
暁恋は、夜明け前に恋人と別れる恋を詠む題である。暁の鐘は寺で時を告げる鐘で、恋人たちに別れの時を知らせるものとして詠まれた。
初句「暁の」は、夜明け前の、の意で、暁恋の題を示す。
二句「涙や空に」の「や」は疑問で、三句の「らむ」と呼応する。
三句「たぐふらむ」は、連れ立っているのだろうか、の意の三句切れである。涙と鐘の音とが空で連れ立つと見なす。
四句「袖に落ちくる」は、袖に落ちてくる、の意である。本来は涙が袖に落ちるのであるが、鐘の音が袖に落ちてくると言いなしている。
結句「鐘の音かな」は詠嘆である。耳に聞く鐘の音と、袖に落ちる涙とを一つにし、別れを告げる鐘がそのまま涙となって袖を濡らすさまを示す。ここから、涙に濡れる袖と冬の景物に寄せる巻末の一連が始まる。
あかつき:夜明け前のまだ暗いころ
たぐふ:連れ立つ、一緒になる
- 作者
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慈円
- 出典
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新古今和歌集
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生きてよも明日まで人もつらからじ この夕暮れを問はば問へかし
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つくづくと思ひあかしの浦千鳥 波の枕になくなくぞ聞く