- 歌の意味
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かつて逢ったあの人の面影を、引き止めておくれ、清見潟よ。関所を守るように袖に寄せては涙をせき止める、波の通い路で。
- 鑑賞
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巻第十四 恋歌四 1333
詞書「水無瀬の恋の十五首歌合に」
涙に濡れる袖と冬の景物に寄せて恋を詠む一連の四首目である。かつて逢った人の面影を引き止めてくれ、清見潟よ、袖に関所を守るように寄せる涙の波の通い路でと詠む。詞書によれば、水無瀬の恋十五首の歌合に出詠した歌である。
作者の「雅経」は、藤原頼経の子で、蹴鞠と和歌の家である飛鳥井家の祖となった。新古今和歌集の撰者の一人である。
清見潟は駿河国の歌枕で、海辺に清見が関が置かれ、関と波とを取り合わせて詠まれた。水無瀬は摂津国の地で、後鳥羽院の離宮があった。水無瀬の恋十五首の歌合は、この地で恋の題十五首を歌人たちに詠ませて番えた歌合である。
初句「見し人の」は、かつて逢った人の、の意である。「見る」は男女が逢うことを言う。
二句「面影とめよ」は、面影を引き止めよ、の意の命令で、二句切れとなる。
三句「清見潟」は、呼びかけの語である。清見が関のある浦の名を挙げ、関の縁で「とめよ」と呼びかける。
四句「袖にせきもる」の「せき」は、清見が関の「関」と、涙を「塞き」止める意とを掛ける掛詞である。袖に寄せる涙の波が、関守のように面影をとどめることを願う。
結句「波の通ひ路」は体言止めである。本巻の第千三百十五首の雅経の歌の「夢の通ひ路」と同じ語であるが、ここでは涙の波が袖に行き来する路として、前歌の潮干の潟に続く海辺の景に据えている。
みる:男女が逢う、契りを結ぶ
きよみがた:駿河国の歌枕、清見が関のある浦
せき:関の意と、涙を塞き止める意を掛ける
かよひぢ:行き来する道
- 作者
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藤原雅経
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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尋ね見るつらき心のおくの海よ 潮干の潟のいふかひもなし
- 次の歌
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ふりにけり時雨は袖に秋かけて 言ひしばかりを待つとせしまに