思ひ入る身はふかくさの秋の露
頼めし末や木枯らしの風
- 歌の意味
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深く思いつめるわが身は、深草の野に置く秋の露のようなものだ。あなたがあてにさせた約束の行く末は、その露を吹き散らす木枯らしの風なのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 1337
詞書は前の歌に続き「水無瀬恋十五首歌合に」
露を詠む一連の二首目である。深く思いつめるわが身を深草の秋の露にたとえ、相手があてにさせた約束の果ては、その露を吹き散らす木枯らしなのかと嘆く。前歌と同じく、水無瀬恋十五首歌合に出詠された歌である。
作者の「藤原家隆朝臣」は、権中納言藤原光隆の子の家隆である。藤原俊成に和歌を学び、『新古今和歌集』の撰者の一人となった。
深草は山城国紀伊郡の地で、現在の京都市伏見区にあたる。『伊勢物語』第百二十三段で、男に飽きられかけた女の住む里として詠まれて以来、鶉や露とともに、さびれた野として歌に詠まれてきた。
初句「思ひ入る」は、深く思いつめる、の意である。
二句「身はふかくさの」の「ふかくさ」は、「深く」と地名の「深草」を掛ける掛詞である。思いの深さが、そのまま深草の野の景色へ移される。
三句「秋の露」で、わが身が露にたとえられる。前歌の後朝の涙の露を受け、はかなく消えるものとして据えられている。
四句「頼めし末や」の「頼めし」は、相手が自分をあてにさせた、の意である。「末」は行く末の意で、草の縁語として葉末をも思わせる。係助詞「や」は疑問を表す。
結句「木枯らしの風」は体言止めである。露を吹き散らす冬の風が、約束の果てを示す。前歌の「秋風」がここでは「木枯らし」へと強まり、季節の移りとともに恋の衰えが進む配列となっている。
ふかくさ:「深く」の意と、山城国の地名「深草」を掛ける
たのむ:下二段活用で、相手にあてにさせる
こがらし:秋の末から冬にかけて吹く強い風
- 作者
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藤原家隆
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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白妙の袖の別れに露落ちて 身にしむ色の秋風ぞ吹く
- 次の歌
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野辺の露は色もなくてやこぼれつる 袖より過ぐる荻の上風