恋ひわびて野辺の露とは消えぬとも
誰か草葉をあはれとは見ん
- 歌の意味
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恋に思い悩んで、野辺の露となって消えてしまったとしても、誰がその草葉をあわれと見てくれようか。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 1339
詞書「題しらず」
露を詠む一連の四首目である。恋に悩んで野辺の露のように消えたとしても、その露の置いていた草葉を誰もあわれとは見てくれまいと嘆く。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「左近中将公衡」は藤原公衡である。右大臣藤原公能の子で、左近衛中将に至った。
初句「恋ひわびて」は、恋に思い悩んで、の意である。
二句「野辺の露とは」は、前歌の初句「野辺の露は」を受ける。前歌では袖の涙と比べられた野辺の露に、ここではわが身そのものがなるとする。
三句「消えぬとも」の「ぬ」は完了の助動詞、「とも」は逆接の仮定を表す。露が消えることに、身が死ぬことを重ねている。
四句「誰か草葉を」の「か」は反語の係助詞である。草葉は、露となって消えたわが身の跡を示す。
結句「あはれとは見ん」は、係助詞「か」を受けて連体形「ん」で結ぶ係り結びで、誰もあわれとは見まい、という反語である。
こひわぶ:恋に思い悩む
くさば:草の葉
- 作者
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藤原公衡
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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野辺の露は色もなくてやこぼれつる 袖より過ぐる荻の上風
- 次の歌
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問へかしな尾花がもとの思ひ草 しをるる野辺の露はいかにと