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うちはへていやは寝らるる宮城野の
小萩が下葉色に出でしより

歌の意味
ずっと続けて眠ることなどできようか。宮城野の小萩の下葉が色づくように、秘めた思いが表に出てしまってからというものは。
鑑賞
巻第十五 恋歌五 1346

詞書「藤原惟成につかはしける」
 露を詠む一連の十一首目で、次歌と贈答をなす。この歌自体に露の語はないが、萩の下葉の色づきが次歌の露を導く。宮城野の小萩の下葉が色づいたように、忍ぶ思いが表に出てしまってからは眠れないと訴える。詞書によれば、藤原惟成に贈った歌である。
 作者の「読人しらず」は、名の伝わらない作者であることを示す。
 宮城野は陸奥国の歌枕で、現在の宮城県仙台市の東部にあたる。萩の名所として知られ、露や鹿とともに詠まれてきた。

 初句「うちはへて」は、ずっと引き続いて、の意である。
 二句「いやは寝らるる」の「い」は眠ること、「やは」は反語の係助詞で、眠ることができようか、いやできない、の意である。結びの「るる」は連体形である。二句で切れる。
 三句「宮城野の」で、萩の名所の歌枕が示される。
 四句「小萩が下葉」は、萩の下の方の葉をいう。下葉は早く色づくもので、心の下に秘めた思いが重ねられている。
 結句「色に出でしより」は、下葉が色づいたように、忍ぶ思いが表に出てしまってから、の意である。二句からの倒置で、眠れない理由を後から示す。

い:眠ること
したば:草木の下の方の葉
作者
よみ人しらず
出典
新古今和歌集
前の歌
あだ言の葉に置く露の消えにしを あるものとてや人の訪ふらん
次の歌
萩の葉や露のけしきもうちつけに もとより変はる心あるものを