君がせぬわが手枕は草なれや
涙の露の夜な夜なぞ置く
- 歌の意味
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あなたが来て枕にしてくれない私の手枕は、草なのだろうか。涙の露が夜ごとに置くことだ。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 1349
詞書「久しう参らぬ人に」
露を詠む一連の十四首目で、次歌と贈答をなす。あなたが枕にしてくれない私の手枕は草なのか、夜ごとに涙の露が置くと詠み、久しく参上しない相手を恨む。詞書によれば、長く宮中に参らない人に贈った歌である。
作者の「光孝天皇御歌」は、仁明天皇の皇子の光孝天皇である。五十五歳で即位した第五十八代の天皇で、在位は三年余りであった。
初句「君がせぬ」は、あなたが枕としてくれない、の意で、共寝の途絶えをいう。
二句「わが手枕は」は、自分の腕を枕とすることをいう。本来二人で交わすはずの手枕を、一人でしている。
三句「草なれや」の「や」は疑問の係助詞で、草なのだろうか、と問う。露が置くのは草葉であるという約束事から、手枕を草に見立てている。三句で切れる。
四句「涙の露の」は、前歌の四句「涙の露に」と同じ語を用い、一連の涙の露を受け継ぐ。
結句「夜な夜なぞ置く」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形「置く」で結ぶ係り結びである。本巻の第千三百四十四首の四句「夜な夜な露の」と同じく、夜ごとに置く涙の露を詠む。
たまくら:腕を枕にすること。手枕と書く
- 作者
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光孝天皇
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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夜もすがら消えかへりつるわが身かな 涙の露にむすぼほれつつ
- 次の歌
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つゆばかり置くらん袖は頼まれず 涙の河の滝つ瀬なれば