涙のみ浮き出づる海人の釣竿の
長き夜すがら恋ひつつぞ寝る
- 歌の意味
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涙ばかりが浮き出てくる。海人の釣竿のように長い夜のあいだじゅう、恋い慕いながら寝ることだ。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 1356
詞書は前の歌に続き「題しらず」
涙と水辺に寄せる一連の一首目である。涙ばかりがあふれる中、海人の釣竿のように長い夜を、恋い慕いながら一人で寝ると詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「光孝天皇御歌」は、仁明天皇の皇子の光孝天皇である。五十五歳で即位した第五十八代の天皇で、在位は三年余りであった。
初句「涙のみ」は、涙ばかりが、の意である。前歌の「寝覚めの涙」を受けている。
二句「浮き出づる海人の」は八音の字余りである。涙が浮き出てくる意から、海に浮かぶ海人の姿へと言いかけていく。
三句「釣竿の」までが、「長き」を導く序詞である。海人の長い釣竿から、夜の長さへと転じる。
四句「長き夜すがら」は、長い夜のあいだずっと、の意である。
結句「恋ひつつぞ寝る」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形「寝る」で結ぶ係り結びである。前歌までの空の時雨から、涙は海へと場所を移し、次歌の涙川へと続いていく。
あま:海で漁をする人
よすがら:一晩じゅう
- 作者
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光孝天皇
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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人知れぬ寝覚めの涙降り満ちて さもしぐれつる夜半の空かな
- 次の歌
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枕のみ浮くと思ひし涙川 今はわが身の沈むなりけり