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玉水を手にむすびても試みん
ぬるくは石のなかも頼まじ

歌の意味
清らかな水を手にすくってでも試してみよう。もしぬるければ、石の中からわく清水も、あなたとの仲も、あてにはするまい。
鑑賞
巻第十五 恋歌五 1367

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 玉水に寄せる一連の一首目である。清らかな水を手にすくって試し、ぬるければ石の中の清水もあなたとの仲も頼むまいと、相手の心の深さを試そうとする。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
 作者の「読人しらず」は、名の伝わらない作者であることを示す。

 初句「玉水を」は、玉のように清らかな水を、の意である。
 二句「手にむすびても」は、両手ですくってでも、の意である。
 三句「試みん」の「ん」は意志で、試してみよう、の意である。三句で切れる。
 四句「ぬるくは石の」の「ぬるく」は、水がぬるい意と、相手の心が冷淡で誠意に欠ける意を重ねている。岩間からわく冷たい清水であるはずの水がぬるければ、という仮定である。
 結句「なかも頼まじ」の「なか」は、石の「中」と、二人の「仲」を掛ける掛詞である。「じ」は打消の意志で、あてにはするまい、の意である。前歌までの忘却の嘆きから、相手の心を試すという積極的な態度へと転じている。

たまみづ:玉のように清らかな水
むすぶ:両手を合わせて水をすくう
なか:石の「中」と、男女の「仲」を掛ける
作者
よみ人しらず
出典
新古今和歌集
前の歌
今までに忘れぬ人は世にもあらじ おのがさまざま年の経ぬれば
次の歌
山城の井手の玉水手にくみて たのみしかひもなき世なりけり