君があたり見つつを居らん生駒山
雲な隠しそ雨は降るとも
- 歌の意味
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あなたの住むあたりを、眺めながら過ごしていよう。雲よ、生駒山を隠さないでおくれ。たとえ雨は降っても。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 1369
詞書は前の歌に続き「題しらず」
雲に寄せる一連の一首目である。相手の住むあたりを眺めて過ごそうと、その方角の生駒山を雲が隠さないよう願う。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「読人しらず」は、名の伝わらない作者であることを示す。
生駒山は大和国と河内国の境にある山で、現在の奈良県と大阪府の境にあたる。
この歌は『伊勢物語』第二十三段に見える。そこでは、大和の男の訪れが途絶えたのち、河内の高安の女が大和の方を見やって詠んだ歌とされる。
初句「君があたり」は、あなたの住むあたりを、の意である。
二句「見つつを居らん」は、見ながら過ごしていよう、の意である。「を」は間投助詞で、意志を強める。二句で切れる。
三句「生駒山」は、相手の住む方角にそびえる山である。
四句「雲な隠しそ」は、「な~そ」の禁止の形で、雲よ隠さないでくれ、の意である。前歌までの水から、ここで雲へと景物が移る。
結句「雨は降るとも」の「とも」は逆接の仮定で、雨は降ってもよいから、の意である。雨は許しても雲が山を隠すことは許さないという願いに、見ることだけを頼みとする切実さが表れている。
あたり:その付近
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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山城の井手の玉水手にくみて たのみしかひもなき世なりけり
- 次の歌
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中空に立ちゐる雲の跡もなく 身のはかなくもなりぬべきかな