中空に立ちゐる雲の跡もなく
身のはかなくもなりぬべきかな
- 歌の意味
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空の中ほどに立ち漂う雲が跡形もなく消えてゆくように、わが身もはかなく消えてしまいそうなことだ。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 1370
詞書は前の歌に続き「題しらず」
雲に寄せる一連の二首目である。中空に漂う雲が跡もなく消えるように、わが身もはかなくなってしまいそうだと嘆く。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「読人しらず」は、名の伝わらない作者であることを示す。
この歌は『伊勢物語』第二十一段に見える。そこでは、互いに思い合っていた男女が、ささいなことから離れてしまった後の歌の一つとして置かれている。
初句「中空に」は、空の中ほどに、の意である。どっちつかずで落ち着かない心のありようも思わせる。
二句「立ちゐる雲の」は、立ったりとどまったりして漂う雲の、の意である。前歌の生駒山を隠す雲を受け、同じ雲の景物を続けている。
三句「跡もなく」は、跡形もなく、の意である。初句から三句までが、はかなく消えるさまのたとえとなる。
四句「身のはかなくも」は、わが身がはかなく、の意である。
結句「なりぬべきかな」は、きっとなってしまうだろう、という強い推量に詠嘆の「かな」が付いた形である。前歌が雲に山を隠すなと願ったのに対し、この歌では雲そのものが消えゆくわが身のたとえとなっている。
なかぞら:空の中ほど。転じて、どっちつかずで落ち着かないこと
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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君があたり見つつを居らん生駒山 雲な隠しそ雨は降るとも
- 次の歌
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雲のゐる遠山鳥のよそにても ありとし聞けばわびつつぞ寝る