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恨みつつ寝る夜の袖の乾かぬは
枕の下に潮や満つらん

歌の意味
恨みながら寝る夜の袖が乾かないのは、枕の下に潮が満ちてくるからなのだろうか。
鑑賞
巻第十五 恋歌五 1377

詞書は前の歌に続き「題しらず」
 袖と水辺に寄せる一連の三首目である。恨みながら寝る夜の袖が乾かないのは、枕の下に潮が満ちているからかと、涙の多さを海の潮にたとえる。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
 作者の「清原深養父」は、平安時代前期の歌人で、内蔵大允を務めた。清少納言の曾祖父にあたる。

 初句「恨みつつ」は、恨みながら、の意である。「うらみ」は海辺の「浦」を思わせ、下の潮と響き合う。
 二句「寝る夜の袖の」は、恨みを抱いて独り寝る夜の袖をいう。
 三句「乾かぬは」は、乾かないのは、の意である。本巻の第千三百七十五首の結句「乾く時なき」と同じ嘆きを受けている。
 四句「枕の下に」で、寝所の枕の下に海があるかのように見立てる。
 結句「潮や満つらん」の「や」は疑問の係助詞で、連体形「らん」で結ぶ係り結びである。前歌の川から、ここで海の潮へと水の尺度が大きくなり、次歌の「満ち来る潮」へと続く。

しほ:潮、海の水
作者
清原深養父
出典
新古今和歌集
前の歌
禊するならの小川の川風に 祈りぞわたる下に絶えじと
次の歌
葦辺より満ち来る潮のいや増しに 思ふか君を忘れかねつる