葦辺より満ち来る潮のいや増しに
思ふか君を忘れかねつる
- 歌の意味
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葦の生える岸辺から満ちてくる潮のように、いよいよ思いがつのるからだろうか、あなたを忘れられずにいるのは。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 1378
詞書「中納言家持につかはしける」
袖と水辺に寄せる一連の四首目である。葦辺から満ちてくる潮のように思いがつのるからか、あなたを忘れられないと詠む。詞書によれば、中納言大伴家持に贈った歌である。
作者の「山口女王」は、奈良時代の女性歌人である。大伴家持に歌を贈ったことが知られ、出自は明らかでない。
『万葉集』巻四に、山口女王が大伴家持に贈った歌として見える。家持は大伴旅人の子で、中納言に至った。
初句「葦辺より」は、葦の生える水辺から、の意である。
二句「満ち来る潮の」は、前歌の「潮や満つらん」を受ける。前歌が枕の下の潮を詠んだのに続き、ここでは実際に満ちてくる潮が詠まれる。
三句「いや増しに」は、ますます、いよいよ、の意である。初句から二句までが、潮がしだいに満ちるさまから「いや増し」を導く序詞となる。
四句「思ふか君を」の「か」は疑問の係助詞で、思うからだろうか、の意である。
結句「忘れかねつる」は、係助詞「か」を受けて連体形「つる」で結ぶ係り結びで、忘れることができずにいる、の意である。
あしべ:葦の生えている水辺
いやまし:ますます多くなること
- 作者
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山口女王
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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恨みつつ寝る夜の袖の乾かぬは 枕の下に潮や満つらん
- 次の歌
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塩竈の前に浮きたる浮島の うきて思ひのある世なりけり