塩竈の前に浮きたる浮島の
うきて思ひのある世なりけり
- 歌の意味
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塩竈の浦の前に浮かんでいる浮島のように、心が落ち着かず、つらい物思いの絶えない二人の仲であったよ。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 1379
詞書は前の歌に続き「中納言家持につかはしける」
袖と水辺に寄せる一連の五首目である。塩竈の前に浮かぶ浮島のように、心が浮いて定まらず、つらい思いの絶えない仲であったと詠む。原文に作者名はなく、前歌に続く山口女王の歌として配列されている。
作者の「山口女王」は、奈良時代の女性歌人である。大伴家持に歌を贈ったことが知られ、出自は明らかでない。
塩竈は陸奥国の歌枕で、現在の宮城県塩竈市にあたる。塩を焼く浦として知られ、浮島はその浦に浮かぶ島とされる。
初句「塩竈の」は、塩を焼く浦の地名で、前歌までの潮の景物を受けている。
二句「前に浮きたる」は、浦の前に浮かんでいる、の意である。
三句「浮島の」は、塩竈の浦の島の名である。「浮き」「浮島」と同じ音を重ね、初句から三句までが四句の「うき」を導く序詞となる。
四句「うきて思ひの」の「うき」は、島が「浮き」の意と、心が「憂き」の意を掛ける掛詞である。
結句「ある世なりけり」の「世」は男女の仲の意で、気づきの「けり」で詠嘆する。前歌の満ちてくる潮に続き、その海に浮かぶ島によって、定まらない恋のありようを示している。
うく:島が「浮く」意と、心が「憂く」つらい意を掛ける
よ:男女の仲
- 作者
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山口女王
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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葦辺より満ち来る潮のいや増しに 思ふか君を忘れかねつる
- 次の歌
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いかに寝て見えしなるらんうたた寝の 夢より後は物をこそ思へ