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いかに寝て見えしなるらんうたた寝の
夢より後は物をこそ思へ

歌の意味
どのように寝たから、あの人が見えたのだろうか。うたた寝の夢で見てから後は、ただ物思いにふけるばかりだ。
鑑賞
巻第十五 恋歌五 1380

詞書「題しらず」
 夢を詠む一連の一首目である。うたた寝の夢に相手が現れてから、かえって物思いが増したと詠み、どう寝たから見えたのかと問う。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
 作者の「赤染衛門」は、赤染時用の娘で、文章博士大江匡衡の妻である。藤原道長の妻倫子と、その娘の上東門院彰子に仕えた。

 初句「いかに寝て」は、どのように寝て、の意である。
 二句「見えしなるらん」は、夢に見えたのだろうか、の意で、二句で切れる。もう一度同じように寝て、再び会いたいという思いがこもる。
 三句「うたた寝の」は、横になるつもりもなくついうとうとと寝ることをいう。前歌までの水辺の歌から、ここで夢の歌へと移る。
 四句「夢より後は」は、夢を見てから後は、の意である。
 結句「物をこそ思へ」は、係助詞「こそ」を受けて已然形「思へ」で結ぶ係り結びである。夢で会えた喜びが、覚めた後の物思いへと転じている。

うたたね:横になるつもりもなく、ついうとうとと寝ること
作者
赤染衛門
出典
新古今和歌集
前の歌
塩竈の前に浮きたる浮島の うきて思ひのある世なりけり
次の歌
うちとけて寝ぬものゆゑに夢を見て 物思ひまさる頃にもあるかな