春の夜の夢にありつと見えつれば
思ひ絶えにし人ぞ待たるる
- 歌の意味
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春の夜の夢に、あの人がいたと見えたので、もうあきらめていた人が、つい待たれてしまう。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 1382
詞書は前の歌に続き「題しらず」
夢を詠む一連の三首目である。春の夜の夢に相手の姿が見えたので、あきらめていたはずの人を思わず待ってしまうと詠む。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「伊勢」は、伊勢守藤原継蔭の娘である。宇多天皇の中宮温子に仕え、父の官名から伊勢と呼ばれた。
初句「春の夜の」は、短くはかない春の夜をいう。次歌も同じ初句で始まり、二首が並べられている。
二句「夢にありつと」は、夢にあの人がいたと、の意である。
三句「見えつれば」は、見えたので、の意である。前歌までの夢が物思いを増すものであったのに対し、ここでは夢が待つ心を呼び起こす。
四句「思ひ絶えにし」は、思いを断ち切ってしまった、の意である。
結句「人ぞ待たるる」は、係助詞「ぞ」を受けて連体形「るる」で結ぶ係り結びで、「るる」は自発を表す。あきらめたはずの人を思わず待ってしまう心の動きを詠んでいる。
おもひたゆ:思いを断ち切る、あきらめる
- 作者
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伊勢
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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うちとけて寝ぬものゆゑに夢を見て 物思ひまさる頃にもあるかな
- 次の歌
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春の夜の夢のしるしはつらくとも 見しばかりだにあらば頼まん