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あはれなりうたた寝にのみ見し夢の
長き思ひにむすぼほれなん

歌の意味
しみじみと悲しいことだ。うたた寝にばかり見たはかない夢が、長い物思いとなって心に結ぼれてしまうのだろう。
鑑賞
巻第十五 恋歌五 1389

詞書「千五百番歌合に」
 夢を詠む一連の十首目である。うたた寝に見ただけの短い夢が、長い物思いとなって心に結ぼれてしまうのだろうと詠む。詞書によれば、千五百番歌合に出詠された歌である。
 作者の「皇太后宮大夫俊成」は藤原俊成である。権中納言藤原俊忠の子で、『千載和歌集』を撰進し、藤原定家の父にあたる。皇太后宮大夫は皇太后宮職の長官である。
 千五百番歌合は、後鳥羽院が建仁元年(1201)に歌人三十人に百首歌を詠ませ、それを千五百番に番えた、史上最大の規模の歌合である。

 初句「あはれなり」は、しみじみと悲しい、の意で、初句で切れる。初めに感慨を置き、その理由を下に述べる。
 二句「うたた寝にのみ」は、うたた寝の中でだけ、の意である。本巻の第千三百八十首の「うたた寝の夢」と同じく、ついまどろんだ時の夢をいう。
 三句「見し夢の」は、見た夢が、の意である。
 四句「長き思ひに」は、長く続く物思いに、の意である。うたた寝の短さと思いの長さとが対比されている。
 結句「むすぼほれなん」の「むすぼほる」は、心がふさがって晴れない意で、夢を「結ぶ」とも言うことから夢の縁語となる。本巻の第千三百四十八首の結句「むすぼほれつつ」と同じ語で、そこでは涙の露が結ぶさまであったものが、ここでは夢が結ぶさまとして用いられている。

むすぼほる:心がふさがって晴れない。夢を結ぶの縁で用いられる
作者
藤原俊成
出典
新古今和歌集
前の歌
床近しあなかま夜半のきりぎりす 夢にも人の見えもこそすれ
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かきやりしその黒髪の筋ごとに うち臥すほどは面影ぞ立つ