花咲かぬ朽木の杣の杣人の
いかなるくれに思ひ出づらん
- 歌の意味
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花も咲かない朽ち木ばかりの杣山の杣人のような私を、あなたはどのような暮れに、どのような榑のために思い出したのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 1398
詞書「年ごろ絶え侍りにける女の、くれといふもの尋ねたりけるに、つかはすとて」
途絶えた仲を詠む一連の四首目である。長年絶えていた女が榑を求めてきたので、それを贈るのに添えて、花も咲かない朽ち木の杣山の杣人のような自分を、どんな暮れに思い出したのかと詠む。詞書によれば、長年仲の絶えていた女が榑という材木を求めてきたので、それを贈る際に添えた歌である。
作者の「藤原仲文」は、平安時代中期の歌人で、上野介などを務めた。三十六歌仙の一人である。
なお本文の詞書は「たつねたりける」とあり、「る」の下に「に」を補う注記がある。注記に従って「尋ねたりけるに」と読んだ。
初句「花咲かぬ」は、花の咲かない、の意で、栄えることのない自分の身をたとえる。
二句「朽木の杣の」は、朽ちた木ばかりの杣山の、の意である。杣は材木を切り出す山をいう。
三句「杣人の」は、杣山で木を切る人をいい、作者自身をたとえる。初句から三句まで、「杣」の語を重ねて寂れた山の景を描く。
四句「いかなるくれに」の「くれ」は、女が求めた材木の「榑」と、日の「暮れ」を掛ける掛詞である。杣、朽木、杣人とともに材木の縁語でまとめられている。
結句「思ひ出づらん」は、思い出したのだろうか、の意である。前歌が忘れる相手を皮肉ったのに対し、この歌は忘れていた相手がふと思い出したことを、自らを卑下しつつ問いかけている。
そま:材木を切り出す山
そまびと:杣山で木を切る人
くれ:材木の「榑」と、日の「暮れ」を掛ける
- 作者
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藤原仲文
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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君しまれ道の行き来を定むらん 過ぎにし人をかつ忘れつつ
- 次の歌
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おのづからさこそはあれと思ふ間に まことに人の訪はずなりぬる