嘆くらん心を空に見てしがな
立つ朝霧に身をやなさまし
- 歌の意味
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嘆いていらっしゃるという御心を、空の上から見てみたいものです。立ちのぼる朝霧に、この身を変えてしまおうかしら。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 1412
詞書「御返し」
空と雲を詠む一連の二首目で、前歌への返歌である。嘆いているという天皇の心を空から見てみたい、そのために立ちのぼる朝霧に身を変えようかと応じる。
作者の「女御徽子女王」は、醍醐天皇の皇子重明親王の娘の徽子である。斎宮を務めたのち村上天皇の女御となり、斎宮女御と呼ばれた。
初句「嘆くらん」は、嘆いていらっしゃるという、の意である。「らん」は伝聞に近い推量で、前歌の結句「嘆きつるかな」を受けている。
二句「心を空に」は、前歌の「大空」を受けて、その御心を空から、の意である。
三句「見てしがな」は、見たいものだ、の意で、願望を表す。三句で切れる。
四句「立つ朝霧に」は、立ちのぼる朝霧に、の意である。霧は空へ昇るものとされ、空から見るための手立てとなる。
結句「身をやなさまし」の「や」は疑問、「まし」はためらいを表し、この身をなしてしまおうかしら、の意である。前歌が空の果てしなさに不安を託したのに対し、この歌はその空へ霧となって昇り、心を確かめようと応じており、同じ空の景物で贈答が組み立てられている。
あさぎり:朝に立つ霧
- 作者
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徽子女王
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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天の原そこともしらぬ大空に おぼつかなさを嘆きつるかな
- 次の歌
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逢はずしてふるころほひのあまたあれば はるけき空にながめをぞする