初雁のはつかに聞きしことづても
雲路に絶えてわぶる頃かな
- 歌の意味
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初雁の声のように、ほんのわずかに聞いたあの人からの便りも、雲の通い路で途絶えてしまい、思い悩むこのごろであることよ。
- 鑑賞
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巻第十五 恋歌五 1418
詞書「題しらず」
空と雲を詠む一連の八首目で、一連を締めくくる歌である。初雁の声のようにわずかに聞いた便りも、雲路で途絶えてしまったと嘆く。詞書は題しらずで、詠まれた事情は記されていない。
作者の「西宮前左大臣」は源高明である。醍醐天皇の皇子で、源の姓を賜って左大臣に至ったが、安和の変によって大宰権帥に左遷された。西宮に邸があったことからこの名で呼ばれる。
初句「初雁の」は、その秋に初めて渡って来る雁をいう。前の二首の「雁」を受ける。「はつかり」と「はつか」の音の重なりによって、二句の「はつか」を導く序詞となる。
二句「はつかに聞きしこと」は、ほんのわずかに聞いた、の意である。
三句「ことづても」は、人に託した便りも、の意である。雁は便りを運ぶものとされ、その縁で詠まれている。
四句「雲路に絶えて」は、雲の中の通い路で途絶えて、の意である。雁の飛ぶ雲路に、便りの通い路が重ねられている。
結句「わぶる頃かな」は、思い悩むこのごろであることよ、と詠嘆の「かな」で結ぶ。本巻の第千四百十一首から続いた空と雲の一連は、雲路で絶える便りによって閉じられる。
はつかり:その秋に初めて渡って来る雁
はつか:わずか、ほのか
ことづて:人に託して伝える便り
くもぢ:雲の中の通い路
- 作者
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源高明
- 出典
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新古今和歌集
- 前の歌
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春ゆきて秋までとやは思ひけん かりにはあらず契りしものを
- 次の歌
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小忌衣去年ばかりこそ馴れざらめ 今日の日かげのかけてだに問へ