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小忌衣去年ばかりこそ馴れざらめ
今日の日かげのかけてだに問へ

歌の意味
小忌衣を着て奉仕した去年ほどには、慣れ親しむことはないとしても、日蔭の蔓を冠に掛ける今日こそは、せめて心にかけて便りをください。
鑑賞
巻第十五 恋歌五 1419

詞書「五節の頃、内裏にて見侍りける人に、又の年つかはしける」
 忘れがたい思いを詠む一連の一首目である。去年の五節に見そめた人に、去年ほど親しくはなれなくとも、今日のこの日にせめて心にかけて便りをくれと詠む。詞書によれば、五節のころに宮中で見そめた人に、翌年贈った歌である。
 作者の「藤原惟成」は、花山天皇の側近として権左中弁などを務め、天皇の退位と出家に従って出家した人物である。
 五節は、十一月の新嘗祭や大嘗祭の後の豊明節会に、舞姫が舞を奉る行事である。小忌衣は神事に奉仕する者が着る衣で、日かげはその折に冠に掛ける日蔭の蔓をいう。

 初句「小忌衣」は、神事に奉仕する者が着る衣である。去年の五節で共に奉仕した折を思い起こさせる。
 二句「去年ばかりこそ」は、去年ほどには、の意で、係助詞「こそ」が三句に係る。
 三句「馴れざらめ」は、係助詞「こそ」を受けて已然形「め」で結ぶ係り結びで、慣れ親しまないだろうが、と逆接で下に続く。「馴れ」は衣が着なれる意と、人と親しむ意を重ね、小忌衣の縁語となる。
 四句「今日の日かげの」の「日かげ」は、冠に掛ける日蔭の蔓で、日の光の意も響かせる。五節の今日の景物である。
 結句「かけてだに問へ」の「かけて」は、日蔭の蔓を冠に「掛け」る意と、心に「かけて」の意を掛ける掛詞である。「だに」は、せめて~だけでも、の意である。前の歌群の途絶えた便りを受け、この歌はせめて便りをと求めている。

をみごろも:神事に奉仕する者が着る衣
ひかげ:日蔭の蔓。五節などの神事に冠に掛けた
かく:日蔭の蔓を「掛く」意と、心に「かく」意を掛ける
作者
藤原惟成
出典
新古今和歌集
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初雁のはつかに聞きしことづても 雲路に絶えてわぶる頃かな
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